Blog

2026/09/13 18:00


まるで風が器になったような一枚がある。イワオトナリテの「ヒラヒラプレート」。その名の通り、縁は波打ち、空気のゆらぎをそのままかたちにしたようだ。

白、黄色、淡い緑。そこにグレージュとピンクがふわりと溶け合い、柔らかく重なる。複数の釉薬を丁寧に重ねがけすることで、まるで光の層を重ねたかのような深みと透け感が生まれる。主張しすぎず、けれど確かに目を奪う―そんな美しさが、この一枚にはある。

たとえば、瑞々しい桃をひとつ。皮を剥き、くし形に切って、そっとこのヒラヒラプレートに並べる。果実の白と薄紅、そして器の色彩が呼応する。あらかじめ計算されたのではなく、自然のなかで“たまたま”出会ったような調和。

イワオトナリテの器は、見た目に美しいだけではない。釉薬の層がどれひとつとして同じではないから、すべてが一点もの。窯変の具合、重なり合う色の表情、ゆらぎの縁の曲線。それらが「唯一無二」という言葉の重みを、静かに語ってくる。この器に盛ると、果物は果物以上のものになる。食卓に置かれたその瞬間、桃の香りとともに、やわらかな風が部屋を抜けていくような気がするのだ。

イワオトナリテ

作り手は愛知の陶芸作家ご夫婦。

お二人共に、窯元で絵付け職人として活動後、デザイン科へと進み更に技術を磨き上げ、現在イワオトナリテとしてご夫婦で作陶。

瀬戸の磁気土の特性を生かした薄づくりと、釉薬の色合いとのバランスが美しい作品。

シンプルで洗練されたデザインと程よい軽さ。釉薬は原料から調合し、複数の釉薬を様々な技法で重ね掛けをし境目のない光を表現。